机と椅子の高さが合わないとどうなる?最適な高さに調節する考え方

2023.05.12 公開

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在宅ワークをする際、家にあるダイニングテーブルやローテーブルを使っているケースもあるでしょう。ただし高さがしっくりこないと身体に負担がかかるおそれがあり、身体に不調が出ると、集中力を維持しにくいなど仕事に影響が出てしまいます。

そこで今回は、不適切な高さの机と椅子を使うことによる身体への影響や、最適な高さのものを選ぶための考え方を見ていきます。仕事の合間に簡単にできるストレッチもご紹介するので、参考にしてください。

机と椅子の高さが合わないとどうなる?

肩こり

姿勢が悪くなり、肩こりや頭痛などのさまざまな症状を引き起こす原因 となります。具体的に、どういったことに悩まされる可能性があるのか、見ていきましょう。

姿勢が悪くなる

パソコン作業などに集中していると、あごや顔が前に出て前のめりの姿勢になっていたり、背中が丸まって猫背になっていたりと、気付かないうちに姿勢が悪くなることがあります。長時間座っていると次第に姿勢が崩れ、ハッとすることもあるでしょう。

机や椅子が身体にフィットしていないと、より一層正しい姿勢をとりにくく なり、姿勢が悪くなってしまいます。姿勢が悪くなると筋肉の緊張が強くなり、首や肩、全身に負担がかかって、さまざまな不調が生じやすくなるため注意が必要です。

肩こりや腰痛になりやすくなる

頭の重さは体重の約10%といわれており、その重みを首や肩の筋肉や背骨で支えています。猫背になると前に重心がかかり、重い頭を支えるにあたって首や肩への負荷が高まり、肩こりを引き起こしやすくなるのです。

また、 座っているときは腰にも負荷がかかりやすくなります 。たとえば腰を反らせた座り方は、腰に負担をかけてしまいます。さらに座面の手前に浅く腰掛けると、前のめりの姿勢になりやすく、椅子の背で身体を支えられずに腰に負担がかかりやすくなるため注意しましょう。

頭痛を引き起こす

同じ姿勢でデスクワークをしているうちに、頭や首、肩の周辺の筋肉に力が入った状態になると、血流が悪化し、まわりの神経が刺激されるなどして頭痛が起こることがあります。

こうした身体的なストレスや、精神的なストレスがかかることで引き起こされる頭痛は、緊張型頭痛といいます。頭が痛い状態だと、仕事がはかどらないこともあるでしょう。

自分の身体にフィットした机と椅子にするか、 身体に合わせて調節できるもの にして正しい姿勢で座ることで、身体に負担がかかりにくい環境をつくることが可能です。

むくみや冷え性を引き起こす

長時間座ったままで作業をしていると、足のむくみが懸念 されます。歩いているときなどはふくらはぎが足の血液を循環させるポンプのようなはたらきをしてくれますが、座っているときはポンプ作用が低下して、水分が次第に下半身へと集まってしまうのです。

また、座っている間はお尻や太ももが圧迫された状態のため、血流が悪くなります。さらにリンパの流れも悪くなり、体内の老廃物が足にたまりがちになります。

しっくりこない高さの机と椅子を使っていて筋肉が硬直した状態だと、血流が滞りやすく、むくみや冷えを引き起こします。身体が冷えると血管が収縮してさらに血流が悪化し、悪循環となってしまうのです。

肥満の原因となる

長時間座ったままの状態でパソコン仕事などをしていると、運動不足になりがちです。 座っている時間が長いほど、肥満や生活習慣病のリスクが高まる といわれています。

座ったままだと消費カロリーが減り、体内に余分なエネルギーをため込みやすくなります。さらに同じ姿勢での作業や、合わない机や椅子を使うことで筋肉が硬直して血流が悪くなることなどから、太りやすくなるため注意が必要です。

また、姿勢が悪い状態ではお腹がぽっこりと目立ちやすくなります。机と椅子の高さが合っていないと姿勢が悪くなりやすく、体型が崩れてしまう原因にもなります。

机と椅子の最適な高さの考え方

椅子に座る人

高さが合わないことによるさまざまな悪影響を防ぐために、こちらでは自分にフィットする高さの机と椅子を選ぶ際に知っておきたいポイントや、考え方を4つご紹介します。

椅子の高さを基準とする

机の高さから決めてしまうと、合わない高さの椅子を選ぶことになる可能性があります。フィットしない高さの椅子は座り心地が悪いうえ、正しい姿勢をとりにくくなります。

まずは 自分の身体にしっくりくる高さの椅子を選び、正しく座った状態で、ちょうどよい高さの机を選ぶ ようにしましょう。

椅子は足裏全体が床につくか

椅子に座ったときに、 足裏がべったりと床につくのが理想 です。そもそも足が床につかない場合や、つま先だけがついてかかとが浮いてしまう状態では椅子が高すぎるため、低くするようにしましょう。

座ったときには腰や首、肩などに負担がかかります。足裏がすべて床につくことで、座ったときに腰などにかかりやすい負担を足裏にも分散できます。

座面の奥まで座った状態で、足裏がすべて床につくかを見ることもポイントです。椅子の前方に浅く腰掛けた状態では、背もたれに背中がつかずに疲れやすくなります。

ただし、足裏がすべて床につくからといって、椅子が低すぎるのもよくありません。床から突き上げる力が足にかかり、骨盤が後ろに傾いて腰に負担がかかりやすくなります。

椅子が高すぎても低すぎても正しい姿勢をとりにくくなり、肩こりや腰痛を引き起こしやすくなるため、後述する計算式を参考に、椅子の高さを決めてみてください。

机は肘が90度を保てるか

日本オフィス家具協会によって、机の高さの基準は72cmとされています。以前は70cmが推奨されていましたが、日本人の平均身長が高くなったことや、海外からのワーカーが増えたことなどから引き上げられています。72cmのデスクは国際的にも通用するサイズです。

ただしこれはあくまでも基準であり、個人によって体型や身長は変わってきます。机の高さが自分にマッチしているのかを見極めることが必要です。

自分の身体にフィットする椅子に正しい姿勢で座り、 腕を真っ直ぐに下ろして机に手を置いたときに、肘が90度になっているか どうかをチェックしましょう。90度未満であれば机が高すぎますが、反対に90度以上の場合は机が低い可能性があります。

差尺も意識する

差尺とは、 椅子の座面から机の天板までの高さ を指します。身体にフィットする高さの机と椅子を選ぶためには、差尺も意識して、机と椅子の相性を見ることが大切です。

体格によっても変わりますが、一般的に差尺は27~30cmが適切な目安とされています。差尺が小さいもしくは大きいと、パソコン作業がしにくいなどの不具合や違和感が生じます。

実際に机や椅子がある場合は、椅子の座面にメジャーを置き、机の天板までの高さを測ると差尺が分かります。カタログやWebサイトで見る場合などは、机の高さから椅子の座面の高さを引いて算出しましょう。

机と椅子の最適な高さを求める計算式

電卓

机と椅子はどれくらいの高さを選べばよいのか、目安を知るための計算式があります。日本オフィス家具協会によって公表されている計算式は以下のとおりです。

・机の高さ=座面高+差尺(身長×6分の1)
・椅子の座面の高さ=身長×4分の1

「デスクワークをする」「食事をとる」などの使用目的によって、適切な差尺も変わってきます。デスクワークの場合は「身長×6分の1」で計算してみるとよいでしょう。

この計算式にあてはめて、身長150cm、160cm、170cmの場合で最適な高さを算出しました。

一覧表

ご自身の身長を計算式にあてはめると、最適な高さが分かります。数値上の高さではありますが、ひとつの参考値として活用してみてはいかがでしょうか。

仕事の合間にできる簡単なストレッチ方法

ストレッチ

デスクワーク時の身体への負担を減らすためには、身体にフィットする高さの机や椅子を選ぶことはもちろんですが、 仕事の合間に簡単なストレッチをする のもひとつの方法です。疲れを感じている部分から、ストレッチを試してみてはいかがでしょうか。

首のストレッチ

前のめりの姿勢になっている場合など、首に負荷がかかっているのを感じることもあるでしょう。そんなときは、 両手を後頭部にあてて斜め下方向に肘をおろし、首の後ろの筋肉を伸ばして みてください。

また、長時間見下ろすような姿勢でパソコン作業をしていると、首のカーブが失われて「ストレートネック」と呼ばれる状態になることがあります。首のカーブを取り戻すために、首を上下や左右にゆっくりと傾けてストレッチをするのもおすすめです。

胸のストレッチ

パソコンでキーボードを打つ際など、手を身体の前に持ってくるときには胸の筋肉を使うため、胸に負担がかかるケースもあります。胸のストレッチをすることで、巻き肩の改善効果も期待できます。

壁に対して垂直になるように立ち、片方の腕を壁などにつけます 。前方向に体重をかけることで、胸の筋肉が伸ばされます。

肘を肩と同じ高さにするか、肩よりも上もしくは下にすることで、胸の筋肉の中でも伸ばされる部位が変わってくるため、それぞれでストレッチをするとよいでしょう。

腰のストレッチ

座っていると負担がかかりがちな腰も、ストレッチをして負荷をため込まないようにしましょう。

肩幅よりも少し広めに足を開いて立ちます。 お尻のやや上に両手をあてて、口から息を吐きながら両手で骨盤を前方向に押し、胸を開くように します。膝は曲げずにそのままの状態で数秒キープしましょう。

寝転がって行うストレッチもあります。あおむけに寝転び、両膝を立てます。膝を左右に倒して、腰の筋肉をほぐしましょう。

ふくらはぎのストレッチ

長時間のデスクワークで、脚のむくみやだるさを感じることもあります。そんなときは「第2の心臓」といわれるふくらはぎをストレッチして、血流を改善させましょう。

片膝を立て、もう一方の膝から下は床につけた状態にします。両手は立てた方の膝に乗せ、体重をゆっくりと前方向にかけて、ふくらはぎを伸ばし ます。

椅子に座ったままの状態でできるストレッチもあります。まず、足の甲を床に押しつけるようにあてます。次は反対に、足裏全体を床につけた状態で、膝を前方向に倒していきましょう。

机と椅子を選ぶ際のポイント

デスクワークをする人

机と椅子を選ぶ際は、自分に合った高さを選ぶ必要がありますが、ほかにもチェックしたいポイントがあります。机と椅子のそれぞれで、どのようなことを確認したらよいか見ていきましょう。

机の選び方

まず、仕事に使うものが置けるサイズの机を選ぶことがポイントです。ノートパソコンやデスクトップパソコンを使用する場合や、ディスプレイを複数台使用するケースなど、何を机の上に置きたいかによって適切なサイズが変わってきます。

パソコン作業に加えて書類仕事もする場合は、大きな机やL字型の机が便利 に使えるでしょう。引き出しや棚などの収納力も要チェックです。

机を置きたいスペースの寸法を測り、スペースに合った大きさの机を選ぶことも大切です。スペースに対して大きすぎると圧迫感が出たり、動線が悪くなったりするため、実際に机を置くとどうなるかをイメージしてみましょう。

愛着をもって使えるように、好みの素材を選ぶこともポイントです。机の素材には、木製やガラスの天板、スチール製のフレームなどさまざまなものがあり、異素材を組み合わせたものもあります。

椅子の選び方

シートの形状は、肩甲骨の下まで背もたれがある「ローバック」と、肩甲骨の上まで背もたれがある「ハイバック」の2つに大きく分けられます。

ローバックはコンパクトで圧迫感がありませんが、長時間の作業では疲れやすくなります。一方でハイバックはリラックスしやすいものの、サイズが大きいため圧迫感が気になることもあるでしょう。

レバーで背もたれの位置を調整できるリクライニング機能や、身体の動きに合わせて動くロッキング機能など、椅子の機能性もチェックします。仕事の合間に身体を伸ばしてリラックスするのに役立ちます。

張地の素材にも注目し、使いやすいものを選びましょう。主に使われる素材として、メッシュ、ファブリック、レザーが挙げられます。

メッシュは通気性に優れており、ムレが気になる場合にも使いやすい素材です。ファブリックは豊富なカラーバリエーションが魅力で、おしゃれな椅子を選びたい方におすすめです。レザーは高級感があります。

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まとめ

机と椅子の高さが合わないと、姿勢が悪くなりやすく、腰痛や肩こり、頭痛、むくみ、冷えなどを引き起こす可能性があります。身体への負担を軽減するためにも、自分に合った高さのものを選びましょう。

机と椅子の高さを決める際は、まず椅子の高さを決めることがポイントです。座面の奥に座った状態で足裏全体が床に付くかを確認しましょう。自分に合った椅子を選んだ後でちょうどよい高さの机を選びますが、差尺も意識して、机と椅子の相性をチェックする必要があります。

快適に使える机と椅子を選ぶためには、高さのほかに、素材やサイズ、機能性などもチェックしてみてください。ご自身に適した机と椅子を選んで、仕事しやすい環境を整えてみてはいかがでしょうか。

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